第3回 MIDI作曲コンテスト 試聴会・座談会

 10月11日に都内某スタジオで行われた試聴会・座談会の模様です。

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作品に聴き入る侘美

本澤: 今回は3人のスケジュールがなかなか合わなくて、延び延びになってしまいましたが、ようやく試聴会を開くことができました。先生方、よろしくお願いいたします。

斎藤侘美 よろしくお願いします。

本澤: それでは早速聴いていきましょう。まず最初は一般の方からの応募曲です。お聞き下さい。

<作品1> 秋の散歩 アキーム

本澤: なるほど。さわやかな青空の下、すっかり秋色に染まった街路樹の下を、ゆっくりと散歩するような、そんな情景が浮かんできますね。

斎藤: うん。秋のBGMっていう感じかな。

本澤: ここに楽譜があるのですが、左手の2つの八分音符は、普通のところ五度音程なのに、ここでは四度音程になっていますね。ここのところって、どう思われますか?

斎藤: 五度だと調性感が強くなりますよね。四度だとちょっとあいまいになる。

侘美: 浮遊感を出したかったのでしょうね、きっと。

斎藤: そうそう。

本澤: 浮遊感ですか.....。秋なのに浮遊感...........なんちゃって。

侘美: お、先生冴えてますね。

本澤: いやいや、これは皆さんのおかげです。

侘美: はなまるをあげます。

本澤: あ、先生そこまでしなくても....。それでは次です。気を取り直して、僕のを聴いて下さい。

<作品2> 秋・ドラマチック2000 本澤なおゆき

斎藤: やはりここは一発、巨大オケですかね。一撃必殺的失恋! 

本澤: いちおう、描写的というよりは、メロドラマ風になったらいいなと思っていたんです。

侘美: フジテレビの1:30くらいからのドラマにぴったりかな。でもどこかで聴いたよ、この曲。なんだっけこれ。

本澤: いや、いちおうオリジナルのつもりなんですが.....。確かに聴いたことあるような気も......。某作曲家の盗作騒動みたいに、裁判ざたになっちゃったりして。

斎藤: これ何となく、「団地妻」風の感じもするなあ。「女教師」とか、あ、違うか。

本澤: なんですかそれ、斎藤先生、またまた。

斎藤: 「失恋」といえば....、やはり基本は「卒業告白」とかさ、ラヴレターに「あなたがしい」と書いたりとか....、ですよねぇ(と昔を懐かしむように、しみじみとつぶやく)。

侘美: 次行きましょう。

本澤: あ、お次はですね、えーと、最近は執筆活動にも忙しい侘美先生の曲です。

<作品3> 秋 侘美秀俊

本澤: う〜ん、個性的。これは確かに秋っぽい。なぜなんだ。アコーディオンのせいか。先生教えて...。

侘美: これはバンドネオンですね。アンニュイな感じを出してみました。

斎藤: 僕はなんか、夏が去り、空気の匂いが移り変わって、「......秋だな。」と感じる雰囲気を想像しました。

本澤: おお、空気の匂いですか、いいですね。春の雨上がりの空気の匂いなんてーのもまたいいですよね。
 でもこの短さは、単純明快でいいですね。本来はこういう短い音楽のためのコンテストだったということを、すっかり忘れてました。これからはもっと短い曲作りを心がけたいと思います。


作品に聴き入る斎藤

斎藤: そうですね。短い中に、表現したいことを凝縮する。俳句のようなものを目指しましょうか。

本澤: 携帯の着メロ用の音楽の独創性を競い合うとか、どうですか? あ、そうだ。JRの駅の発車の音楽にふさわしい音を作るとか....。

侘美: あ、それいいじゃないですか。既存の発車音楽をMIDIにしてるページは既にあるみたいですけど、新しくそれらしいものを作る、っていうのは聞いたことがないね。

斎藤: いいのができたら、JRから制作依頼が来たりして。

本澤: ははは、まさか。でも今度やりましょう。次は「料理」って決まっているけど、11月くらいに。
 さて、そろそろ、次を聴いてみましょうか。

<作品4> 秋の物思い 斎藤 浩

侘美: ん。これっ、アキームさんに似ていますね。

本澤: いや、アキームさんが逆に斎藤先生のピアニスティックな路線を参考にしているということですよね。

斎藤: そうですか、それは光栄です。

本澤: いろいろと物思いにふけることの多い秋ですし、これは人の心情を描写したいい作品です。なんか秋にはピアノが似合うね。

侘美: ピアノは、斎藤先生ならではの路線ですね。


作品に聴き入る本澤

本澤: さぁ、いよいよ最後の作品となりました。最後の作品は、すっかり常連となりました、国際派コンポーザーのキャサリンさんです。

<作品5> 浪花の秋  キャサリン・オマーン

斎藤: すばらしい! これぞ日本の心。キャサリンさんはガイジンさんにもかかわらず、日本人の心を理解してらっしゃるとは、さすがですね。

侘美: これは、イチ押しですね。「秋」をテーマにした今回の作品の中では、珍しく毒がある。他のが色あせて見えます。

本澤: キャサリンさんは、外国人でありながら、かなりの日本通と見受けられます。きっと、琉球畳の居間で、床の間の壺を眺めながらお茶をタシナむ、そんな方なのでしょう。ご本人は「和とバロックのハームニーー」などと語っていらっしゃいました。

斎藤: 最後に見事に鐘が鳴りました。のど自慢みたいです。

本澤: キャサリンさんがNHKのど自慢を見ているとは....。感心ですね。
 というわけで、今回は秋という大変に大雑把な課題でしたが、それぞれに嗜好を凝らした多様な作品が集まりました。

斎藤: うん、十人十色。もっといろんな人の「秋」が聴きたいナ、なんて思ったりしますので、これをご覧になった方には、どしどしご応募いただきたいと思いますね。

侘美: あの斎藤先生、次のお題は「料理」ですよ。いろんな人の「料理」が聴きたいナ、なんて。

本澤: そうですね。ところで、斎藤先生は一年の中でどの季節がお好きですか?

斎藤: う〜ん。難しい質問だねえ。でもやっぱり秋がいいかな。やはり、秋といえば衣替えですね。

本澤: そうですね。よく受付嬢なんかが、秋色の服装に変ったりすると、「う〜ん、秋っていいなあ」なんて思ったりしますよね。侘美先生はどうですか?

侘美: え? 僕? 僕はB型ですよ。

本澤: 先生、血液型じゃないですよ。季節です。もう、ちゃんと人の話聞いて下さいよ。それじゃあ、今回はこのへんで、オシマイです。お疲れさまでした。

斎藤: お疲れさまでした。

侘美: お先にしつれいしま〜す。

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