Column
 コラム

着メロと作曲

1999.3.19 本澤なおゆき

 作曲家は一体いつ作曲するのか。デスクで楽譜を書く作業ではなく、どういう時に着想を得たり、アイデアを膨らませたりするのだろうか。人によっていろいろあるだろうが、僕の場合、「風呂に入っているとき」「寝床について寝付くまで」「車の運転をしながら」「電車の中で」などが挙げられる。

 「風呂に入っているとき」は、のぼせるので意外にはかどらない。ある程度構想が固まりつつある時用だ。「寝床について寝付くまで」も思ったよりすぐに眠くなってしまい、次の朝には忘れているので、あまり使えない。仕事で車に乗ることが多いので「車の運転をしながら」は結構使える。車のラジオは「TOKYO FM」とか「J-WAVE」の場合頻繁に他人の音楽が流れるので、いつも「放送大学」をかけている。これは音楽がほとんどなく、しかも大変ためになる話も聞けるのでGoodであるが、事情を知らない人が同乗すると変に思うだろうな。

 毎日通勤電車に揺られている私にとって、「電車の中で」というのがなかなか良いのだ。というのは、BGMが全く存在しないからだ。ただ、最近では思わぬ敵が現われた。着メロだ。これが流行り出したころは、小田急線の車内にて、携帯の着メロで「太陽にほえろ」のテーマがいきなり鳴って、一部から笑いが出た、なんて事もあった。しかし、今は節操ない。頭の中で音楽を鳴らせて考えている途中、突然あの暴力的な電子音が鳴ると、一気に構想が吹き飛んでしまうのだ。でも最近は車内の着メロも落ち着いてきたかな。

 それでは理想的な着メロとはどんなものか。これはもちろん好みによるけれど、私的に思う美しい着メロの条件は次の3つである。

・耳に優しい。人に優しい。
・無機質だが、知的である。
・CMのロゴのように短い一瞬芸のようなもの。

以上の条件を元に30分程考えて作ってみたのが、次の音である。(楽譜をクリックすると音が出ます)

 いかがでしょうか。実はこの機種で使用可能な2オクターブの音域をフルに使っています。この路線で他にもいい音がありましたらぜひ教えて下さい。

1997-2001 studio cranberry... All right reserved.