■ アビテックス導入奮闘記―2 2001.7.7 本澤なおゆき
アビテックス導入奮闘記―1での予告通り、ついに念願の防音室・ヤマハ「アビテックス」が手に入った。完成後、さっそくピアノ、エレクトーン、各種機材、そしてビブラフォンを考えていた配置通りに入れて、約1ヶ月が経とうとしている。
実際に内部で人にピアノを弾いてもらい、外部から聴いてみると、よく耳をすませない限り何の曲を弾いているのか分からない程度にまで音量が落ちている。ただ、ピアノやエレクトーンの低音を大きく鳴らすと、外からでも結構聞こえる。ビブラフォンの練習をしているのが、風呂場で注意して聴けば分かった、という証言からも、やはり人が寝静まったころに楽器を鳴らすのは控えたほうが良さそうだ。 前述したように、和室とリビングを合体させて広くした部分にアビテックスを設置した(写真)。写真でも分かるように、リビングに大きなボックスを設置した、というよりは、まったく違和感なく新しい部屋が出現した、という印象だ。床は10センチ程度高くなり、天井はかなり低い。しかしリビングとほとんど見分けのつかないフローリングと巾木が付き、天井までリビングと同じ壁紙がきちんと貼られている。これは、新築マンションであったことと、プランニングがしっかりしていたためであろう。ヤマハリビング藤沢の早川さんには大変感謝である。
そこで、物理的に隔てられた場所の音を聴くための機器を、インターネットでとことん調べてみることにした。が、松下電工、アイホンなど大手を調べても、ピッタリ来るものはなかった。スピーカフォン、集音マイク、外部音モニター、盗聴等、あらゆるそれらしいキーワードを検索してみたが、あやしい目的のためのページしかヒットしなかった。中には「コンクリートマイク」なんてのもあったっけ。 結局役に立ったのはパソコンで通信カラオケをするためのソフトに関するページだった。そこには、ボーカルマイクとパソコンからの伴奏をミキシングして、スピーカーで鳴らすしくみが解説されていた。そこで1万円弱で買えるミニミキサーが使われていたのである。その位のミキサーにはマイクアンプが内蔵されているので、マイクからの微弱な信号を増幅してくれるのである。そこで写真のように、手元にあったソニーの集音マイクをリビングのインターフォン付近の壁の高いところに設置してもらい、マイクからのコードをスタジオ内のミニミキサーに突っ込み、ミキサーから出るコードをスタジオの天井付近に設置したスピーカーにつないで、この問題を解決するに至った訳である。この効果は絶大で、スタジオのドアを閉めても外部音が自然に聞こえ続ける。それでいて、外部からは内部の音が聞こえないのだから不思議だ。 2つ目のコダワリ、それは、LANケーブルとオーディオ・ケーブルをスタジオ内外に渡したことである(下の写真)。リビングには普通のオーディオセットがあり、CDプレーヤー、カセットデッキなど、スタジオ内にはない物がある。それらとなかの機器とで音のやりとりをしたいがために、ステレオ2系統合わせて4本のオーディオ・ケーブルを渡した。さらに、今回マンションの3部屋にLAN端子を設置し、将来的にそれぞれの部屋でインターネットができるように配管をしてもらったのだが、その一端をスタジオ内に設置した。オーディオもLANも後でケーブルの入れ替えができるようにリビング-スタジオ間で配管までしてもらったのだが、防音効果が薄れるとの理由で、管の一端をパテで埋めてもらうことにした。現場の人たちも隅々まで音が漏れないようにと気を配っているようで嬉しい。
また、スタジオ内は密閉度が高いため、必ず換気扇とエアコンを設置しなければならない。室内機と室外機を結ぶダクトも、一度リビングに出してからベランダへと出すようにとの指示だった。結局リビングの壁の一部に妙なもの(右下の写真)ができてしまったが、防音のためなら仕方ないかな。
以上、バタバタが続き少し報告が遅れてしまったが、この新しい環境の中で、いい曲が生まれ、いいレッスンができ、いい演奏ができるようになることを切に願いたいと思う(お、うまい締めだ)。 |
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