第2回 MIDI作曲コンテスト 試聴会・座談会

 9月4日に都内某スタジオで行われた試聴会・座談会の模様です。

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作品に聴き入る侘美・斎藤

本澤: いやあ、良かったですねえ。今回も5つもの作品が揃って、しかもなかなかの力作揃いで。どうですか、斎藤先生。

斎藤: どんな音楽か聴くのが楽しみです。

本澤: それでは早速聴いてみましょう。最初の作品は、なんと一般の方からのご応募なんです。しかも未完成作品とは、何か意味あり気ですねえ。

<作品1> 蚊取り線香 あやむし

斎藤: おお、これは印象の強い作品ですねえ。素直なユーモアが感じられます。

侘美: うん、原点を垣間見た思いです。ベーシックな捉えどころです。

本澤: 蚊のしつこさをよく表しています。はなまるをあげましょう。

本澤: さて、次は我らが侘美先生の作品です。ではお聴き下さい。

<作品2> kincho 侘美秀俊

斎藤: う〜ん、折り重なるリズム、優雅に飛行する蚊。そして、近未来的サウンド。

本澤: これは、今回の作品の中で唯一「蚊取り線香」そのものを題材にした作品なんだよね。「金○の夏、日本の夏、バ、バババッ!」というあの仕掛け花火のCMを思いだしました。それにしても蚊が多いですね。

侘美: そう、多いんです。

本澤: そういえば、金鳥って蚊取り線香のシェアの100パーセントを占めているんですかねぇ?

侘美: たしかフマキラーの蚊取り線香があったよね。なかったっけ。

斎藤: さあ、そんなのあったっけ。これは誰かに聞いてみたいですね。

侘美: あの、蚊取り線香って、最初に2つ組み合わさっているじゃないですか。あれを折らずにはずすのが難しいよね。

斎藤: そうそう。難しい。

本澤: 二人とも、蚊取り線香を愛用しているんですか?

侘美: 昔はね。今は電池のすごいやつがあるんですよ。

本澤: 電池? アースノーマットとかじゃなくて?

侘美: ほら、あの、すごいんです。

本澤: 何だか分かりませんよ、それじゃ。僕なんかは、蚊取り線香をあまり使った経験がないんですが、あの渦巻き型に大きな魅力を感じたことはあります。何というか、渦巻きを辿って中心の方へ行っても、別の経路で外側に戻ってこれるって言うか。なんか、嬉しいじゃないですか。導火線みたいだし。ドミノ倒しみたいだし。

侘美: 次行きましょう。

本澤: あ、すいません。お次はですね、えー、私の曲です。

<作品3> 蚊取り線香 本澤なおゆき

侘美: なるほど、蚊の描写のリアリティーは、今日の作品中一番ですね。効果音だけにとどまらない、内容もハイグレードな描写作品です。「西洋の蚊」「ウエストコーストのモスキート」。

斎藤: 熱い夜。外人(ガイジン)の蚊、ですね。

本澤: 蚊の鳴く声に凝ってみました。大人の夜を演出してみました。

斎藤: O型って刺されるんですか? 私もよく刺されます。

本澤: 僕はすごいんですよ。外に出たら、もう生け贄みたいなものです。蚊を惹き付ける力だけは、人並み以上です。


斎藤・本澤 iBookの前で

<作品4> 蚊取り線香 斎藤 浩

本澤: おっと駄目ですよ、侘美先生。勝手に鳴らしちゃ。これ僕の役目なんですから。

侘美: ただ今のは斎藤浩さんの作品です。ベンドや微分音を使わずに平均率だけで表現しているところに、コダワリが垣間見られます。

本澤: 勝手にコメントしないで下さい。

侘美: 前回の「カレー」に通じるところもあるよね。

本澤: うん。前半は蚊と格闘しているのがよくわかります。でも、後半の中近東風のフレーズは何を表しているんですか?

斎藤: 煙です。なんた煙って感じしません? 

本澤: ああ、な〜るほど。納得。じゃ最後の下降音は。

斎藤: 蚊がゆっくり落ちていく様子です。いちおう、冒頭の蚊の描写部分の音域から下がっているんです。

本澤: おお、感動しました。僕、打ち込んでて気がついたんですけど、最後の和音は下からE、G#、G 、Bですね。ちょっとジャジーなこの和音はなんですか? バイトーナル、ってやつですか? [ → 譜例1]

譜例1 終わりの2小節

斎藤: いえ、バイアグラじゃなくってポリコードです。長短両方を一緒に鳴らすやつです。蚊といえば...、昔、幼少の頃、祖父と一緒に林の中を散歩していたら、腕や脚を蚊に刺され、痒い痒い、とわめいたら、祖父が「よしっ」という感じで、刺されて円く腫れた所に爪で「ばってん」をつけてくれたのを、毎年夏になると思い出します。(としみじみと語る)

本澤: さて、いよいよ最後の作品となりました。なんと外国の方からの投稿です。このコンテストもついに国際化を迎えました。

<作品5> せちがらい世の中  キャサリン・オマーン

斎藤: まったくせちがらい。困ったもんだ。

侘美: 題名がいいね。秘められたパワーを感じました。最後のオチはどういったものか。

本澤: この曲は、蚊の立場になってものを考えた唯一の秀作です。作曲者の厳しい監督のもとに僕が打ち込んだんですが、聴いてみるとなんかやっぱりヤマハのJOC(ジュニア・オリジナル・コンサート:編者訳)っぽいところは隠しきれませんね。

侘美: ヤマハの関係者なんですか?

本澤: ええ、まあ、若干....。

斎藤: ということは.......。

本澤: .........................。

侘美: しかしあれですね。みんな着眼点が一緒なのはどういう訳ですかね?

斎藤: そうみんな似たことを考えているんですね。今回は作品が似てました。

本澤: ところで斎藤先生は、蚊の立場になって、もし自分が蚊だったらどうしますか?

斎藤: もし私が蚊だったら? それはまず女風呂に行って...。

本澤: そうだよな、どうせ吸うんだったらやっぱりね.......。

斎藤: どこを吸うつもりなんですか?

本澤: また、斎藤先生、シモネタが。もう、シモーネったら。

侘美: お言葉ですが、血を吸うのはメスだけらしいよ。産卵に備えて栄養をとるためだって。

斎藤・本澤: .........。(がっかりする)

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