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 コラム

アビテックス導入奮闘記―1

2001.5.25 本澤なおゆき

 「夜中までピアノを弾きたい!」
 「気兼ねなく思いきりビブラフォンを叩きたい!」

 思えばボストンのバークリー音大の近くのアパートは音の無法地帯であった。アパートのあらゆる部屋から楽器の音が聞こえた。もちろん僕もビブラフォンを思う存分叩いた。帰国してからは、日中勤めにでることが多くなり、休日に集中して練習しようと最初は思っていたのだが、練習にノッてきたところで隣からの物音に我に返った、なんてことがしばしばであった。練習中に隣の物音が自分に聞こえるということは、逆に自分の音がかなり外に漏れていることになる。こんな状態では腕が落ちてしまう...。というか腕を上げたいくらいなのに。

 そこで、音を出せる住宅を探してみることにしたのだ。最初に考えたのが、小田急線の町田駅のホームで見つけた広告の「地下室付き輸入住宅」であった。展示場を見学してみると、ツーバイシックスの工法では、比較的安価に地下室ができることが分かった。しかもかなり広く取れて、傾斜地であれば窓から採光することも可能だ。とはいっても、住宅と土地をプラスすると決して安価ではないし、土地を探す時間もないし根気もない。おまけに駅から近いことを第一に望む我々にとっては無理な計画であった。

 次に我々の目に舞い込んできたのは、毎日のように折り込み広告に入ってくるマンションの類いである。それらの広告の図面に目を通し、同時にヤマハの防音室「アビテックス」が入るかどうか検討し始めた。新築であれば、完成前にアビテックスがすんなり入るように設計変更ができる。そんな考えから、我々はある新築マンションに絞って、そのタイプ別の部屋から、もっとも無駄なくアビテックスが入るタイプを探した。ただし、マンションの空き部屋は次々と埋まっていく。即断即決という、およそ我々の苦手なことが要求された。

Before
After


洋室のウォークイン・クローゼット
 熟慮の上ゲットしたのが上の様な和室6畳部分を持つマンションである。左は設計変更前で、和室と押し入れがある。このままアビテックスを入れると押し入れが潰れてしまい、タダでさえ少ない大事な収納スペースが失われてしまう。そこで、右の設計変更後のように、逆側の洋室のクローゼットと結合させて、大きな「ウォークイン・クローゼット」とすることで、無駄をなくすと同時に、あこがれであった大きなクローゼットまでをも手に入れることができたのである。

 さて、次回は実際に導入された後のアビテックスを紹介したいと思う。右の写真は、アビテックスが入る前の状態で、和室部分はすでになく、リビングのフローリングが元和室だった部分まで延長されている。このままリビングが広ければいいなあ、とつい思ってしまう。ともかく、このスペースにアビテックスが設置される日が来るのが楽しみである。

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アビテックス導入奮闘記―2

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